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UTMFと別府大分マラソンを目指す!ランニング人生の軌跡

福岡国際マラソン2016-川内優輝・魂の走りに感動した

[caption id=“attachment_1390” align=“alignnone” width=“640”]東京マラソン2011 このレースでブレイクした川内選手が偶然映っていた 東京マラソン2011
このレースでブレイクした川内選手が偶然映っていた[/caption]

テレビ観戦ではあるが、昨日の第70回福岡国際マラソンでは川内優輝選手の魂の走りに魅了された。3週間前の右脚ふくらはぎ負傷により出場が危ぶまれたのだが、周りの反対を押し切っての強行出場であった。通常であれば欠場は当たり前であり、最後の日本代表選考レースであるのならばなおのこと、次の東京かびわ湖へスライド出場するのが普通であると思われるが、川内選手は違った。「招待された以上、全力を尽くす」という心意気が、まずはファンをしびれさせる訳だ。

そして、中間点を過ぎた頃に最後に1人残っていたペースメーカーも何故か途中離脱してしまうと、川内選手がペースを上げて前に出た。更にレースの主導権を取ろうとする外国人招待選手たちとトップ集団を形成したのだ。そこには日本人は川内選手しかいない。他の日本人選手は後方に徐々に遅れて着いて行けない。

もし、日本代表になることが目標ならば他の日本人選手の動きを見てペースアップした外国人招待選手に着いていくことはリスクを背負うことになる。しかし、世界で戦うことが目標であるならば、ここでトップ集団に着いて行かなければならない。川内選手は世界と戦うことを選んだのだ。

その後は、魂の走りにより、3位まで順位を上げてゴール。川内選手の最後まで目線の先に見えていたのは、元世界記録保持者のマカウと世界選手権銀メダルのツェガエ。世界で戦える日本人は現状ではもう彼しかいない。

確かに今回とは異なり序盤からハイペースだったとしたならば、川内選手も中盤以前で失速して今回の様な後半の戦いになることはなかったかもしれない。しかし、世界選手権もオリンピックも夏開催であり、序盤はスローペースで展開することは必至だ。であるならば、日本のマラソンは川内選手の後半の驚異的な粘りに期待するしかないのではないか。

川内選手は今回の福岡国際に向けたトレーニングとして、5時間以上山を走ったり、100kmロードを走ったりと、フルマラソンの後半に戦える新たな体作りをしている。世界と戦うためにこれだけのことをする実業団選手が果たしているだろうか。もっとも、選手がやりたくても監督・コーチが許さないだろうが。

ぜひ、川内選手には来夏のロンドンの世界選手権でメダルを目指して世界と戦って欲しいと思った。現状、フルマラソンで世界と戦えるのは彼しかいないのではないか。まだ来年の東京マラソン、別府大分マラソン、びわ湖毎日マラソンと、まだ選考レースは残っている。ここでは川内選手の今回の記録を上回る選手が出てくるかもしれないが、おそらく夏のフルマラソンではいつもの結果に終わる可能性が高い。

川内選手は夏の暑い時期のフルマラソンが苦手だということであるが、これからのトレイルランや100km走などという独自のトレーニングと持ち前の根性で克服することができるのではないか。少なくとも、現在の5000mや10000mのトラックレースでスピードランナーと言われている箱根ランナーや実業団選手が既存のトレーニングによりスタミナを強化してフルマラソンを行うよりも、川内選手が独自のトレーニングにより世界と戦えるようになる方が可能性が高いのではないだろうかと思う。ぜひとも、東京オリンピックまで目指してもらいたい。